2007年1月のこびん

戻る


<第0337号 2007年1月28日(日)>

       もういいや

         もういいや
         そう思ったら
         
         いままでで
         いちばん
         やわらかな光を
         思い出して
         
         もういいや
         そう思ったら
         
         あなたのりんかくを
         ラムネのように
         シュワッと溶かして
         
         もういいや
         そう思ったら
         
         あなたの鼓動を
         とっくん
         とっくん
         数えてみて
         
         あなたのリズムを
         思い出したなら
         
         ゆっくりと
         すこしずつ
         風を
         おこそう


   * 挿一輪 *

 「もういいや」
 そう思ってしまうことがあります。
 
 がんばっても結果が出ないとき。
 がんばったら裏目にでてしまったとき。
 
 そして、
 自分らしさを忘れて、自分を傷つけたとき。
 
 力が抜けてしまったなら、
 基本に戻りましょう。
 
 「生きている」自分に戻りましょう。
 ふるさとに戻るように、自分を解放しましょう。
 
 いのちには、自らを癒す本能が備わっています。
 いのちの音に耳をかたむけてください。
 
 しばらく休んだなら、
 ゆっくりと動き始めましょう。
 
 動くと風がおこります。
 ほら、もう大丈夫ですよ。


<第0336号 2007年1月21日(日)>

       てぶくろ

         てぶくろは
         カイロではないのに
         てぶくろは
         ストーブではないのに
         
         ふっくらと
         あたたかい
         
         てぶくろは
         ひだまりではないのに
         てぶくろは
         愛しい人ではないのに
         
         ふんわりと
         あたたかい
         
         てぶくろは
         ふるさとではないのに
         てぶくろは
         かあさんではないのに
         
         じんわりと
         あたたかい
         
         どうしてだろう
         どうしてだろう
         
         てぶくろのなかに
         あるものは
         
         熱い血の流れる
         あなたの
         手


   * 挿一輪 *

 あなたのあたたかさをいちばん知っているのは、
 あなた自身です。
 
 でも、そのあたたかさは、
 あなたがずっと受け継いで、
 あなたが作リ続けているものです。
 
 冷たい外気に凍えてしまったあなたの手。
 
 毛糸の手袋でおおわれた空間には、
 あなた自身の手のあたたかさが伝わってきます。
 
 炎に手をかざしているのではないのにあたたかい。
 考えてみれば不思議ですね。
 
 真のあたたかさは、
 湧き上がってくる、いのちなのかもしれません。
 
 あなたのあたたかさを大事に守ってくださいね。


<第0335号 2007年1月14日(日)>

       カーブミラー

         曲がりくねった道だから
         確認のために
         カーブミラー
         
         ぼくたちの道には
         どんな形でついている
         カーブミラー
         
         一瞬先でも
         なにもわからない
         そんな毎日だけど
         
         注意して見ていれば
         注意して耳を澄ませていれば
         なにかを感じるはず
         
         真っ暗闇で
         手探りで進んでいる
         たしかにそうだけれど
         
         どこかにあるはずだから
         明日への指標の
         小さなカーブミラー


   * 挿一輪 *

 山の曲がりくねっている道。
 すれ違うのさえやっとの細い道。
 カーブミラーがあると少し安心します。
 
 通ったことがある道でも、
 初めての道ならなおさらに、
 このカーブの先の状況を知りたくなります。
 
 危険があれば、
 あらかじめ察知して、対応を考えることができます。
 カーブミラーがあるからこそ、
 道を安全に通行できるのではないでしょうか。
 
 
 残念ながら、
 私たちの生きる道にはカーブミラーがありません。
 
 曲がりくねった道より、
 よほど危険なことが待ち受けているかもしれないのに、
 その先を知ることができません。
 
 でも、カーブミラーの代わりになるものがあります。
 先人の残した知恵や、
 生まれつき備わっている五感です。
 
 注意深く行動して、
 経験をつむことによって、
 カーブミラーの代わりを手に入れることができます。
 
 どんなに小さくてもかまいません。
 あなたが生きてゆく上での大切なミラーです。
 
 
 でもたったひとつ注意してください。
 自分のミラーを常に磨いて手入れをしておいてください。
 
 どんなに優れたミラーでも、
 汚れて見えにくくなっていたり、
 別の方向を向いていたなら、
 いざというときに、役に立たなくなりますから。


<第0334号 2007年1月7日(日)>

       小さな星

         たんぽぽの綿毛は
         小さな星
         新しい年の太陽に
         まばゆく輝く
         小さな星
         
         しゃがんでじっとみてごらん
         星がそっと手を振るよ
         光る細い手を振るよ
         
         まるで
         ほほえみ返すように
         ついておいでというように
         
         澄んだ風の背に乗って
         ぷるるとふるえて
         舞い上がる
         
         たんぽぽの綿毛は
         小さな星
         まっさらな明日の大地に
         新しいいのちを運ぶ
         白い星


   * 挿一輪 *

 冷たい北風の吹くなか、たんぽぽの綿毛をみつけました。
 まだこれから旅立ちのようで、
 小さな1本1本の綿毛が、柔らかな球を作っていました。
 
 冬の太陽の光を、惜しむように全体に受けて、
 まるで、真っ白の星のように輝いていました。
 
 
 これから飛んでゆく1本1本の綿毛には、
 それぞれ小さな種がついています。
 
 どこに落ちるか分かりません。
 種が発芽するかどうかも分かりません。
 
 でも、その可能性は無限です。
 明日という大地は、あらゆる可能性を含んでいるからです。
 
 
 新しい年の初めに、今年一年の願いを込めて、
 たんぽぽの綿毛とともに、
 新しい大地を目指してみてはいかがでしょうか?



このページのトップに戻る

Copyright© 2007 Kokoro no Kobin