2023年6月のこびん

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<第1193号 2023年6月25日(日)>

       は


         はるかかなたから
         かぜはやってきた
         はるかかなたから
         わたしはやってきた
         
         とおくはなれたここで
         どちらもみしらぬみちで
         こうしてであったのは
         どれほどふしぎなきせき
         
         はるかかなたとは
         いったいどこなのだろう
         はるかかなたとは
         いったいいつなのだろう
         
         ほんとうはききたかったけれど
         ふりむいたらもうだれもいない


         

   * 挿一輪 *

 同じ場所を通り過ぎるにも、数時間、数秒違っても、出会えません。
 
 そして、こことそこが重なることは、それ以上に奇跡なのでしょう。
 
 風が空間の距離を移動するのなら、ひとは何代も時代を引き継いで。
 
 ひとつひとつの出会い、大切にしたいですね。


<第1192号 2023年6月18日(日)>

       の


         ノックしたら
         だれがでる
         わたしのこころ
         でるのはわたし
         
         ノックしたら
         だれがでる
         わたしのこころ
         よくにただれか
         
         ノックしたら
         だれがでる
         わたしのこころ
         みしらぬだれか
         
         よくよくみたら
         おおきなかがみ


         

   * 挿一輪 *

 あなたのなかには、いつものあなたしかいないはずです。
 
 でも、時々、見知らぬあなたが出てくること、ありませんか。
 
 あなたのなかには、何人かのあなたがいるのでしょうか。
 
 そのひとりひとりも、あなた自身なのでしょうね。


<第1191号 2023年6月11日(日)>

       ね


         ねがいをひとつ
         よんできた
         みなみかぜの
         ふくしたで
         
         ねがいとよりそい
         こしかけた
         ゆめをみようか
         みどりのベンチ
         
         ねがいがつぶやく
         そらたかく
         すーっとひとつ
         よぎるくも
         
         ずっとならんでいるのなら
         いつかひとつになれるかな


         

   * 挿一輪 *

 願いは、離れたところにはいません。
 
 寄り添うように、いつも一緒に。
 
 願いと、話してみましょうか。


<第1190号 2023年6月4日(日)>

       ぬ


         かいてあるのは
         りんかくだけ
         すきないろに
         ぬってください
         
         いろえんぴつでも
         クレヨンでも
         すいさいえのぐでも
         いっそすみでも
         
         うまれたときは
         おぼろげなせんだけ
         すこしずついろづけて
         いまのいろになっている
         
         このままぬってゆきますか
         あなたのいろはすきですか


         

   * 挿一輪 *

 考えてみたらひとは、立体的な塗り絵のようなもの。
 
 生まれたときは真っ白で、生きてゆくうちに色づけてゆく。
 
 いまのあなたの色は、さて、お気に入りですか。
 
 それとも、別の色に塗りなおしたいですか。






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