2023年7月のこびん

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<第1198号 2023年7月30日(日)>

       ま


         まっさら
         まっしろ
         まっさお
         まっただなか
         
         まっぴら
         まっくろ
         まっとう
         まっぱだか
         
         まっすぐ
         まったく
         まっちょ
         まっちんぐ
         
         まってまって
         まなつにはねる


         

   * 挿一輪 *

 小さな っ を伴って、ま は、跳ねてゆきます。
 
 跳ねて跳ねて、はるかかなたまで跳ねて、もう見えません。
 
 いまは、どこらへんに跳ねているのでしょう。
 
 真夏の空は、どこまでもどこまでも続いています。


<第1197号 2023年7月23日(日)>

       ほ


         ほんをひらくのは
         たびだちへのあいず
         じゅもんのことばが
         みちびいてくれる
         
         ほんのとびらは
         おともなくひらく
         あたらしいせかいが
         そっとてまねきする
         
         ほんとのかいわは
         ゆめのはじまり
         かぎりないであい
         ふしぎなパートナー
         
         ひとやすみするには
         おきにいりのしおり


         

   * 挿一輪 *

 旅に出たいけれど、旅費も時間もないというあなたに。
 
 とっておきの旅のおすすめは、読書。
 
 一冊の本は、はじめての世界へと連れて行ってくれます。
 
 いつでも出発できて、いつでも一休みできる、すてきなひとときです。


<第1196号 2023年7月16日(日)>

       へ


         あなた へ って
         おくったのに
         あなた へ は
         とどかなかった
         
         あなた へ って
         どこのことだろう
         じゅうしょでもない
         でんわばんごうでもない
         
         あなた へ って
         おもわずみあげる
         だれにきいたら
         わかるのだろう
         
         とどけたいものは
         ずっとたまっているのに


         

   * 挿一輪 *

 通り過ぎてしまったのに、どこかこころにひっかかること。
 
 もう戻ることなんてできないのに、いつまでも忘れられないこと。
 
 大切ななにかを、届けることができたなら。
 
 でも、たとえ連絡先がわかっても、あの時のあなたもわたしもいません。
 
 「へ」は迷いつづけて、今ごろどこにいるのでしょうか。


<第1195号 2023年7月9日(日)>

       ふ


         ふわっと
         あなたがいる
         ふわっと
         ためいきのように
         
         ふわっと
         あなたがうごく
         ふわっと
         ほほえむかわりに
         
         ふわっと
         かぜがとまる
         ふわっと
         いろがにおいたつ
         
         あなたはここにいて
         あなたはここにいない


         

   * 挿一輪 *

 ふわっとしたものに、ひかれます。
 
 くっきりとエッジの立ったものも潔いのですが、疲れてしまいます。
 
 ふわっと生きてゆけたなら、いちばん良いのでしょうけれど。


<第1194号 2023年7月2日(日)>

       ひ


         ひみつをひとつ
         だきしめながら
         あなたというかいは
         そだってゆく
         
         ひみつはひそか
         だれにもしられず
         ききみみをたてても
         しんとしずもりて
         
         ひみつはいつか
         ふかいいろをもち
         あなたのひかりをたたえ
         ひとつのたからものに
         
         あなたはまもりつづける
         まるでわかきははのように


         

   * 挿一輪 *

 秘密というものは、だれもがひとつは持っているもの。
 
 案外、自分でも気づかないなにかを、こころの奥深いどこかに持って。
 
 謎めいているけど、自分を支える一部になっているかもしれません。
 
 秘密は、そのひとの陰影を、立体的にしてくれます。
 
 あなたも秘密を意識して、ひそかに育ててみてください。






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