2023年11月のこびん

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<第1215号 2023年11月26日(日)>

       それでも


         バラの花の目指すところ
         雲ひとつない蒼空か
         
         バラの花の目指すところ
         熟れた芳香の果実か
         
         その行方が知りたくて
         ずっとたたずんでいたけれど
         
         なにも教えてくれないで
         バラの花は眠ってしまった
         
         わたしはこうして年を重ね
         なにもしらずに年を重ね
         
         それでも尋ねてみたいのは
         バラの花の目指す先


         

   * 挿一輪 *

 ずっと、気にかかることがあります。
 
 ずっと、こだわることがあります。
 
 それはなぜと聞かれても、答えは説明できません。
 
 自分にはわかっているのに、確かなことばになりません。
 
 そんなものをいくつも抱えて、ひとは生きてゆくものでしょうか。


<第1214号 2023年11月19日(日)>

       応える


         雨がやんで
         陽がさしてきた
         
         ただそれだけのこと
         
         雲に遮られた陽が
         わたしの瞳に届いた
         
         ただそれだけのこと
         
         陽が運んできた
         問いかけの光は
         
         まっすぐに
         
         わたしは応えなければ
         わたしではなくなる
         
         まっすぐに


         

   * 挿一輪 *

 自分に働きかけることには、応えなければなりません。
 
 イエスでも、たとえノーでも、自分自身で受け止めなければなりません。
 
 逃げることでも、答えを出せずに見つめ続けることでも、かまいません。
 
 生きていることは、働きかけ、働きかけられることだからです。


<第1213号 2023年11月12日(日)>

       ん


         ん。
         で、あんしん
         おわり
         
         ん?
         で、ぎもん
         はじまり
         
         ん、
         を、いつも
         つづけて
         
         ん!
         と、おどろき
         しんせん
         
         いつもそばに
         わすれず、ん


         

   * 挿一輪 *

 ん。
 
 終わりのようで、どこか始まり。
 
 終わったかなと安心していると、いつのまにか始まっているので注意。
 
 逆に、ん、を、終わりの始まりに使えれば、新たな発見も。
 
 見逃すのも、気付くのも、あなた自身の視点次第です。


<第1212号 2023年11月5日(日)>

       を


         を って
         おどろくときは
         お って
         おどろくときより
         ふかい
         
         を って
         であったものは
         お って
         であったものより
         わすれない
         
         お って
         でたあとに
         を って
         かわるときは
         かみしめるほど
         あじがでてくる


         

   * 挿一輪 *

 お、っと、いうのは、軽い驚きでしょうか。
 
 を、っと、いうのは、少し深い驚き。
 
 からだの奥底で反応する、ような気持ちでしょうか。
 
 もっとも、最大の驚きでは、声も出ないかもしれません。
 
 でも、忘れないのは、後から深い驚きに変わる出会いかも。






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