2024年1月のこびん

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<第1224号 2024年1月28日(日)>

       思い出空気


         雲ひとつない空の下
         冷たい大地にころがって
         
         邪魔だと烏がつっついて
         シャーっと猫が威嚇して
         
         ぐるっと回ってみたけれど
         いつまでここにいるのかな
         
         ひっくり返ってみたならば
         新たな何かが見えるかな
         
         光と話せばいいですか
         風と遊べばいいですか
         
         いたずら飽きて捨てるなら
         あの日の思い出抜いてくれ


         

   * 挿一輪 *

 詰まった空気は、暖かなままでしょうか。
<第1223号 2024年1月21日(日)>

       探している


         探している
         顔を
         見上げると空の雲に
         足元の道の割れ目に
         垣根の中の花に
         
         探している
         顔を
         人恋しいのだろうか
         小さないたずらなのか
         うずうずするアートか
         
         探している
         顔を
         じっと見つめると
         じっと見つめ返す
         目が合うと互いに会話
         
         探している
         顔を
         暗示でも夢でもない
         たったひとつの表情
         自分だけの宝石


         

   * 挿一輪 *

  ふっと出合ったものに、顔を探してみませんか。


<第1222号 2024年1月14日(日)>

       隣


         わたしの隣には誰もいない
         ひんやりした空間だけ
         
         音もたてずに歩きはじめる
         行く当てなどどこにもないが
         
         風が追い抜いてゆく
         景色が流れてゆく
         
         気配を感じて立ち止まる
         ふと思いついて立ち止まる
         
         何も見えないはずなのに
         あたたかな誰かにつつまれる
         
         思うだけで隣が埋まる
         陽だまりのように見守られて
         
         わたしの隣には誰かがいる
         寄り添って一緒に歩きだす


         

   * 挿一輪 *

  誰もいないようで、自分の隣にはいつも誰かが寄り添っています。


<第1221号 2024年1月7日(日)>

       問い


         なにを見ていいのだろう
         
         なにを聞いていいのだろう
         
         なにに触れて
         なにを抱きしめていいのだろう
         
         なにに尋ねたらいいのだろう
         
         なにに打ち明けたらいいのだろう
         
         なにを信じて
         なにに答えを出せばいいのだろう
         
         あの輝く空の雲の湾を望み
         ただじっと生きているだけでは
         
         いけないのだろう
         か


         

   * 挿一輪 *

  問いは必要ですが、答えを出すと問いはなくなってしまいます。






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