2024年3月のこびん

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<第1233号 2024年3月31日(日)>

       揃って


         みんな
         揃って
         待っていた
         
         はる を
         
         みんな
         揃って
         呼んでいる
         
         いま を


         

   * 挿一輪 *

 揃って咲くのが、春の贈りものです。


<第1232号 2024年3月24日(日)>

       変わる


         なにかを
         見たあとは
         呼吸が少し変わる
         
         なにかに
         触れたあとは
         呼吸が少し変わる
         
         からだのなかの
         細胞が
         順々と
         春先の花芽のように
         ほんのりと
         色づいてゆく


         

   * 挿一輪 *

 気がつかないだけで、少しずつ変わっています。


<第1231号 2024年3月17日(日)>

       いっぽ前へ


         ずっと
         こころまちにすること
         
         ふっと
         目前にあらわれること
         
         楽しみには
         緩急の表情がある
         
         ゆっくりと
         音もなくふくれてゆき
         
         ざっくりと
         切るように飛びこまれ
         
         悲しみにも
         緩急の表情がある
         
         時間の流れは変わらない
         わたしが
         一歩前へ踏み出すだけ


         

   * 挿一輪 *

 見守っているとゆっくりと、忘れていると突然に、どちらも自分の時間。


<第1230号 2024年3月10日(日)>

       ご褒美


         春ですよ
         
         手紙はポストに
         花は大地に
         
         返事はペンで書きますか
         ささやきは風に乗せますか
         
         その日の予定はありません
         その日は笑みしかありません
         
         立ち姿は同じなのに
         咲いてしまえば 花
         
         春ですよ


         

   * 挿一輪 *

 咲いている花、見ている顔、どちらも笑みです。


<第1229号 2024年3月3日(日)>

       ご褒美


         ぼくには影がある
         影にはぼくがいる
         
         どんなに
         忍び足で歩こうと
         どんなに
         すばやく移動しようと
         
         ぼくの足には
         影が生まれ
         影には
         ぼくの足が吸い付く
         
         友達だとうれしいけど
         嫌な奴なら困るけど
         
         ぼくがいるから影がある
         影はぼくの呼吸のあかし
         
         だからこうしてついて来る
         いま生きているご褒美に


         

   * 挿一輪 *

 気持ちの良い呼吸は、自分へのご褒美です。






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