***  9月の詩  ***

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 アメンボ


トンとたたくと
寄ってくる
スイスイスイと
寄ってくる

風が運ぶおとしもの
時間が告げるおとしもの
あわてた虫のおとしもの

どんなにかすかな波紋でも
新たな変化がおこるたび
何か用かと
寄ってくる

トンとたたくと
寄ってくる
スイスイスイと
寄ってくる

水面にうつる晩夏の空を
空中散歩を楽しむように
雲の合間をぬいながら

広がる波紋を
長い手足でひょいとまたぎ
何か用かと
寄ってくる

あなたのこころの表面に
ひょいとことばを落としたならば

くすんで映った空色の
ヤンマも鳥も飛んでいる
逆さの世界の表面を

すこしおどけたアメンボが
何か用かと
寄ってくる








9月の詩 アメンボ

9月の詩 アメンボ

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