しあわせの基準 今月の詩


***  8月の詩  ***

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 樹陰のふたり


その樹陰の木漏れ日は
翡翠色のシャボン玉
手元に開く文庫本に
スポットライトゆれる

その樹陰の朗読は
トパーズ色の筆跡
目を閉じたほほに
透明なアゲハ舞う

風は大きな樹そのままを
葉も小枝も新しい芽も
ひとつの家族のように
慈しみつつみ

皺だらけの手に不釣合いな
けれど明晰なアルト
ベテランの歌姫のように
なじみの物語の舞台を
よどみなく綴ってゆく

夏の朝のベンチに
寄り添っている光の輪郭
ふたりだけにわかる
時間軸の蜃気楼を
眠るねこのように従わせ

解き放たれたことばたちは
笑顔という名の句読点と
ふたつのまぶたの上で遊び
白い杖の上でとまり
洗いざらしのズボンのひざで休み

ああ額装されたふたり
汗の光を涙のように膨らませて

天井の見えない青い画廊に
またひとつ新しい絵を求めて
空が大きな翼をひろげている





8月の詩 樹陰のふたり

8月の詩 樹陰のふたり


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※ P印は写真付(2006年3月以降は自作写真によるテーマ詩を書いています)



 「しあわせの基準」は私の初めての詩集の題名です。毎日、日記代わりに書き続けた詩の中から、発表したものを中心にして編んでみました。

 日記をつけている方は大勢いらっしゃると思います。毎日の出来事を克明につけていらっしゃる方や、感じたことを短歌や俳句、詩の形で残される方もいらっしゃると思います。

 私も、毎日の感じたことを、詩の形に置き換えて書き綴っています。もっともそのままだと、とても理解されないので、外の目に触れるときは書き直しをしています。もともと勝手に書いたものを、正しい?「詩」の形にするのですから、頭を抱えて止まってしまうこともしばしばです。

 書き終わったノートは、みなさんはどうしていらっしゃいますか?私は虫干しをかねて、しばらくしてから読み直しています。そのときに「いいな」と思ったものが「詩」の形で作品になります。書いてすぐだと思い込みが強いので、しばらく醒ました(ほんと酔ってますね)ほうが客観的に見ることができます。

 この、しあわせの基準は、そんな虫干しのノートから抜き出した「いいもの」を、毎月1〜2編ずつお見せしてゆきました。

 でも、最近は、好きで撮っている写真からイメージをもらっています。写真詩、のような実験になっていますが、いかがでしょうか。ご感想などいただければと思っています。

 どうぞよろしくお願いいたします。



詩集「しあわせの基準」はこちらから



花束 大切な人に

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